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2006年6月19日 (月)

老鼠愛大米NO.57

追いかける、追いかける、追いかけて走る…。

 選手たちは選ばれただけあって、どの人も早い。白組は女子二人が走ったところで5組中、第3位につけた。3番目の男子は何とか3位をキープしたものの、2位との差は縮まらず、むしろ4位の緑組に追い上げられそうな勢いだ。ところが4番手に走った高輝ががんばった。

阿蘇の草千里で馬に乗ったときのように、

  「負けるかーっ、負けるかーっ!」

と大声で叫びながら二位に迫る。二位の赤組の選手は高輝の大声に気おされたのか何度も振り返って、しまいには次の選手にバトンを渡すときに落としてしまった。あわてて拾っている間に、高輝が趙にバトンを渡し、赤組を抜き去った。

 趙も早い。またもや「負けるかーっ。」と叫びながら、暴れ馬のような格好で1位の青組みを追いかける。しかし青組の鄭はもっと早い。差が縮まるどころか、ヂリヂリと開いていく。

 鄭が最後のコーナーを回ったとき、それぞれの組のアンカーが一列に並んだ。

 立ち止まって見ていた直美はその姿に息を呑んだ。白組のアンカー

はまるで劉そのものではないか。スラッとした長身の体躯だけではなく、遠くからみると顔まで似ている。

青組のアンカーにバトンが渡ると、数メートル遅れて趙が白組のアンカーにバトンを渡した。アンカーは長い足を更に長く伸ばして、青組を追いかけて走る。

白い鉢巻に「劉」と書いて走る。まるで豹のように、地面を蹴るたびに砂埃を巻き上げながら走る。

「劉!劉!劉!リュウ!!」

いつの間にかどの組も白組のアンカーに声援を送り始めた。

 「リュウ、リュウ、リュウ!」

大合唱は止まらない。直美の前をアンカーが駆け抜けたとき、劉の鼓動が直美の胸に直接伝わってくるように思えた。

 青組のアンカーと白組のアンカーはほとんど同時にテープを切った。白組のみんなは一斉にアンカーのところに集まって、アンカーを胴上げした。2回、3回と劉が空に溶け込んで宙に舞う。

 レースが終わると表彰式が始まった。直美はみんなに気づかれないようにそっと席をたつ。

  「坂本先生、黙って帰るなんてずるいよーぉ…。」

後ろで声がした。王華がテントの脇に立ってこちらを見ていた。

 

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